倉庫保管と善管義務

倉庫保管は、貨物を入庫する荷役作業開始と同時に始まります。倉庫業者による保管とは、預かったものを安全に貯蔵し管理することまでも意味します。つまり、これは貨物を貯蔵して保全するだけでなく、その貨物の上に行使する第三者の留置権、質権、その他の商取引に必要な利便を提供することも包まれているのです。

倉庫業について、商法では倉庫業者は商行為として、有償、無償を問わず、保管を行う場合は、善良な管理者の注意をなすものとしての善管義務を負わされていることが規定されています。この善管義務については、法的にその範囲が明示されていませんが、倉庫業者は良識を持って善意の管理者として、預かった荷物に常に細心の注意を払い、その品質や用途に相応した有効な管理をほどこし、さらに庫内外の清潔・整頓を保つことが、基本的な内容として要請されます。このため、日常の現場業務の管理を効果的に推進することが重要な要素となります。

倉庫保管の現場業務としては、まず、保管貨物の品質・用途に応じた有効で適切な管理をすることが重要です。その貨物の生産・流通段階の諸事情をはじめ、品質、銘柄、荷姿、包装条件、その他特性などを普段からよく調査して把握しておき、それに基づいて管理計画を立てて業務を行うことが肝要です。次に貨物に適した保管場所の選定が重要になります。通常、ひとつの倉庫に多品種の貨物を保管することになるので、保管場所の選定には最新の注意が払われます。これには、貨物の荷姿、数量、特性、保管期間、回転率、荷主の要望、注意事項などをよく把握し、出庫作業の効率や貨物の安全などを考霊して効果的に保管場所を選定することが必要です。

倉庫保管では、管理や荷役作業が円滑に行われるよう、適正な通路スペースを設定することが重要です。さらに倉庫内外の巡視や整理整頓も忘れてはならない要素です。これを繰り返し行うことにより、火災、盗難、温湿度の変化などを早期に発見でき、対応策がすぐ取れるのです。また、あわせて、建物や機器類の点検を行うことにより、その保全がはかれることになるのはいうまでもありません。 

倉庫保管は、このように最新の注意が払って行われているため、利用者は安心して荷物を預けることができるのです。