倉庫業の特色と時代の波

倉庫業は多くの荷主の物品の保管を営業の主体としているので、公共性の問題や施設面の制約、サービスの特性などについて経営上さまざまな特色を持っています。そして、物流業界全体の近代化が進んでいるため、さまざまな面で対応が求められています。

倉庫業は経済社会において、財貨の生産と消費を結ぶ流通活動のうち、主として保管活動を分担しているため、経済生活に欠くことのできない重要な役割を果たしています。そのため、倉庫業が経済社会において、公益性としての大きな役割を果たしていることはいうまでもないでしょう。倉庫業の公益性とは、一般利用者へのサービスの提供が良く行われ、その需要を充足させることであり、不特定多数の荷主企業を対象として機能することによって、その重要性をより発揮することといえます。

倉庫業は倉庫業法によって、その施設について一定の構造基準が義務づけられており、また倉庫料金が届出制となっているなどの規制がなされています。そのため、料金は一般的市場原則が作用しづらい面もありますが、極力、多様化をはかることなどが重要となっています。

倉庫業におけるサービスは、交通サービスと同様に、無形的生産物の類型に属します。そのサービスは一般財貨や商品とは異なって、即時性、非貯蔵性を特性とします。また、倉庫業におけるサービスは、商取引流通に従属的存在で、商取引流通の発生を基盤としているため、受動的性格の強いものです。倉庫業におけるサービスで、経営にとくに影響を及ぼす特性としては、代替性に富んでいることです。これは他の物流業の場合とほぼ同様ですが、倉庫業の場合、そのサービスは企業などが保有する自家用倉庫に代替がされてしまいます。現実に自家用倉庫は、営業倉庫の何倍もの量が存在しているので、常に倉庫業は自家用倉庫との競合関係にあります

倉庫業はこのように、その施設や料金により制約されるため、著しい収益増が望めるものではありませんが、メーカーなどの手によって製品が生産され続ける限り、絶対になくなることのないものです。しかし、そういった安定したニーズに甘んじていていいはずがありません。今後、倉庫業界に求められる対応は、自らの特性をよく踏まえた上で、物流業界全体に適応した総合的なサービスだといえるのではないでしょうか。