倉庫業は倉庫の果たす機能からしても、物流活動の根幹にあたる部分を担当しています。そのため、物流システム化の中枢的役割を果たしているといえるでしょう。
倉庫業には、現在、保管を流通の一過程としてとらえ、保管と輸送を一体的に扱う物流事業としての役割を果たすことが求められています。そして、これが倉庫業にとっての、物流近代化への対応といえるのです。
倉庫業における物流事業としての近代化への対応については、個別経済面からのみでなく、その公益性、公共性との関連において、国民経済的面からも検討する必要があります。まず、個別経済的面においては荷主企業に対し最適物流システムを設計、提供し、トータルコストの引き下げをもたらすことが重要になってきます。さらに国民経済的面においては、国民生活を対象とした物流コスト節減による物価安定に寄与することが求められています。そして、これが行われることによって、地域社会の発展や国民生活の安定に貢献することにつながり、また、安定経済成長下における発展への活路なっているのです。
倉庫業はまた、個々の保管や荷役などの物流コスト低減への努力も重要ですが、それ以上に、これらの活動と輸送や、その他の物流活動を最適に組み合わせ、効果的に機能さえることが求められています。これが実現すれば、物流事業全体の本質的な問題解決をもたらすのです。物資の生産と消費をむすぶ流通過程において、倉庫業としては、設備面や技術面の合理化を図ることは当然のこととして、さらにこれらを基盤として、最適物流システムを形成し、荷主企業の物流需要を効果的に充足するとともに、国民経済的にも総体的物流コスト節減の利益をもたらすようにしなければなりません。
倉庫業における物流近代化への貢献は、保管や荷役など、個々の機能の合理化、効率化のみならず、一貫した物流活動に関連するトレード・オフの要素なども考慮することによってもたらされます。そのためには、物流全体を考えた合理化システムを供給することが重要で、生産や消費に関連する経済の動向をよく見極め、道路や港湾などの公共投資や地域開発との関連を検討し、さらに地域住民との加かわり合いを十分認識しなければなりません。つまり、これからの倉庫業には、物流界全体のことを考えた、総体的な流れへの本格的要請に応じ得ることが求められているのです。